アーチコラム 肉離れを繰り返す選手へ、早期復帰と再発防止をするために必要なこと (浜松市 アーチ鍼灸整骨院)
こんにちは、アーチ鍼灸整骨院、柔道整復師の坂本です。
肉離れをして痛みが無くなり復帰したが再び肉離れで離脱・・・
なんて経験があるそこのあなた!
私自身高校サッカー部のトレーナーをしていて、
このような選手を見てきた経緯があるため、
「肉離れを繰り返す選手へ、早期復帰と再発防止をするために必要なこと」
について書いていきます。
目次
①肉離れとは?
一般的に
「スポーツ動作中に、急に筋肉が切れたように実感するとともに 痛みを感じ、プレーの継続が困難となる状態」
に対する通称のことです。
肉離れは、自分自身の筋肉の力または他からの力によって、筋が過伸張されて発症します。
過剰な負荷や不適切な動作、または筋肉の疲労が蓄積することによって発生し、
例えば、ハムストリングスの肉離れは、急激に脚を伸ばす動作、または急に走り出すときなど、
筋肉に急激な引っ張りが加わる場面で多く見られます。
ハムストリングス肉離れの多くは、遠心性収縮の過程で発生することが多いです。
遠心性収縮とは筋肉自体が収縮しながらも、筋肉が引き伸ばされているような状態です。
腕相撲で例えると全力を出してるけど、相手の力に負けているような状態で、
この状態が筋肉の負荷が最も高くなります。
具体的には、ランニングやストレッチ、ジャンプから着地する瞬間、
または急停止をする際に筋肉に過度の引き伸ばしがかかります。
このとき、ハムストリングスは膝を伸ばしながらも、急速に引き戻す役割を果たさなければならず、
これが遠心性収縮による負荷の原因となります。
②肉離れの症状・治療は?
《肉離れによる症状》
急激な痛みが出現し疼痛により 競技続行不可能 「プチっ」という音や何かが切れた音がし、
受傷直後より、局所の疼痛・圧痛・腫脹がみられます。
↓
筋肉の伸⻑痛のため、関節の運動制限が生じる。疼痛が強くなり歩行困難となることもあります。
↓
伸⻑痛のため、運動制限が生じます。
↓
時間とともに疼痛・腫脹は軽減するが、同部位に硬結がみられる場合があります。
肉離れ後の正しい治療の仕方は
損傷の程度によって変わっていきます。
損傷の程度を示すものとして奥脇の分類・JISS分類というものがあります。
スポーツ復帰までの目安が変わっていきますので
こちらの表を参考にしていただき、おおよその復帰目安にしてください。
•I型(軽症):出血所見のみが認められる出血型 腱・筋膜に損傷がなく、
筋肉内または筋間(筋 膜)の出血 ーーー2週間以内
•II型(中等症):筋腱移行部(特に腱膜)損傷型 筋腱移行部(特に腱膜)の損傷を認めるが、
完全 断裂・付着部の裂離は認めない
II型(中等症)を細分化
1度:わずかな損傷(腱膜の輪郭が保たれる)ーーー2週間
2度:部分断裂(腱膜が部分的に断裂) ーーー6週間
3度:完全断裂(腱膜が完全に断裂) ーーー10週間
•III型(重症):筋腱付着部損傷型(裂離を含む) 筋腱の短縮を伴う腱の完全断裂または付着部裂離
・ III型(重症)を細分化
1度:わずかな損傷(腱膜の輪郭が保たれる)ーーー2週間
2度:部分断裂(腱膜が部分的に断裂) ーーー6週間
3度:完全断裂(腱膜が完全に断裂) ーーー16週程度
(トップアスリートなら手術を考慮)
ただこの復帰までの期間がとても重要になり、
安静にしているだけでそのまま復帰をすると、
後述するように復帰後に再受傷という結果になりかねません。
リハビリがとても重要になります!!!
③なぜリハビリが大事なのか?
肉離れは再受傷の確率が高く、初回の受傷後1年の間にハムストリングス肉離れを再受傷した例のうち
約53%が競技復帰後25日以内に再受傷、約79%が前回の受傷時と同じ筋・部位を再受傷というデータがあります。
損傷した筋肉はそのまま筋肉に再生されるわけではなく、
筋の損傷部位をまずはTypeIコラーゲンという結合組織で埋めようとします。
損傷部を結合組織(TypeIコラーゲン)により修復されますが
コラーゲンが過剰に産生されると瘢痕組織となります。
瘢痕組織は通常の筋肉組織とは異なり、硬くて伸縮性が低く再び肉離れするリスクが増えてしまいます。
骨格筋は損傷しても筋幹細胞であるサテライト細胞により再生されます。
平常時、 眠った状態(休止期)で存在するサテライト細胞は、
1活性化、2増殖、3筋分化の3つのステップを踏んで損傷部位を再生していきます。
このコラーゲンが過剰に産生されたり、
サテライト細胞の筋分化の際に適切な負荷がかかっていなければ、
損傷部位の瘢痕化や繊維化という、
正常の筋とは違う状態での再生をしてしまう恐れがあります。
④肉離れ改善に必要なリハビリ
今回は
肉離れを繰り返してしまい、動けはするけどスポーツをすると痛い
という方に向けての
リハビリのメニューをお伝えします。
肉離れ直後のリハビリとは少しやり方が異なりますのでご注意ください。
1,ハムストリングスのリリース(ほぐし)1分
体重をしっかり乗せて行えるとGood!
※痛すぎる場合、無理はしないでください。
2,ブリッジング
3,ハムストリングスのストレッチ
筋肉を伸ばした際に適度なストレッチ感があるとGOODです。
痛みが出てしまう場合は、痛みの出ない範囲でストレッチをやりましょう!
4,スクワットキープ
5,スクワット
ぜひ、1ヶ月ほど続けてみてください。
今回の記事では、ここまでとさせていただきます。
今回はハムストリングスの肉離れについて
詳しく説明させていただきましたが、
もも前の筋肉である大腿四頭筋や
ふくらはぎの筋肉である下腿三頭筋の肉離れでも
同じようなことが言えますので、
『肉離れだから放っておけば痛みがなくなる』と放置せずに、
リハビリをすることで再発を防ぐことに繋がりますのでぜひやってみてください。
参考文献
・公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト3〜スポーツ外傷・障害の基礎知識〜2016年第1版
・公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト7〜アスレティックリハビリテーション〜
・筋損傷後の早期運動介入が治療過程に及ぼす影響 村上生馬 筑波大学体育系紀要 Bull. Facul. Health & Sci., Univ. of Tsukuba 38 149-152, 2015
・Sherry MA et al. A comparison of 2 rehabilitation programs in the treatment of acute hamstring strains. J Orthop Sports Phys Ther. 2004 Mar;34(3):116-25.
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柔道整復師 坂本裕哉