アーチコラム 浜松で前十字靭帯損傷後、膝が伸ばしづらい方へ
こんにちは。アーチ鍼灸整骨院の杉浦です。
私は柔道整復師の資格を持ち、静岡県浜松市にあるアーチ鍼灸整骨院で痛みのある方やお身体について何かお困りのある方への治療、リハビリをさせていただいています。
今回はスポーツ中に前十字靭帯を損傷し、手術をしてから膝が伸ばしづらい原因についてお話します。
目次
前十字靭帯とは
前十字靭帯という言葉は耳にしたことがある方が多いと思いますが、身体のどこにあってどんな働きをしてくれるのかまず
ご説明します。
前十字靭帯とは大腿骨(太ももの骨)の外側から脛骨(すねの骨)の内側に付く靭帯です。
この写真は右膝関節を前から見たときの写真です。
この前十字靭帯ですが大腿骨と脛骨をつなぎ脛骨が前方、内側に出すぎないように制御する役割があります。
そのため前十字靭帯損傷は膝関節が前に出て内側に入る動きをする時に起こりやすくなります。
靭帯は骨と骨をつなぎ関節を安定させる働きがあるため前十字靭帯を損傷する時は
・スポーツ中相手と接触して膝を強打した時
・ジャンプの着地時にバランスを崩して後ろに倒れながら膝を捻った時
・急激な方向転換や切り替えし動作をした時
など膝関節に相当強い力が加わるときに起こります。
そのためスポーツ中は前十字靭帯損傷の発生頻度が高くなり、重度な損傷になりやすくなります。
前十字靭帯を損傷して膝が伸びづらくなる原因
①手術をした箇所の浅筋膜の癒着が起きるため
前十字靭帯は脛骨の前方、内側への過剰な動きを止めるという膝関節にとって重要な役割を持つため
損傷した場合は手術をして太ももの裏の筋肉の腱または膝のお皿の下の腱を移植する方法が用いられることが多いです。
特にスポーツ中損傷された方は今後も競技を続けるために手術をされることが多いと思います。
手術をして皮膚を切開し、縫合すると自然治癒力が働くため傷を塞ぐように皮膚がくっつきます。
ですが一度切開しているため完全に前回と同じ状態で治癒することはないので本来くっついていなかった皮膚や脂肪同士が無理やりくっつくことになります。
擦り傷や切り傷、やけどをした時にできた傷跡が残るのをイメージしていただけるとわかりやすいと思います。
そこが癒着という皮膚や脂肪などの浅筋膜の硬さの原因になります。
手術で切開し縫合した箇所の皮膚、脂肪などの浅筋膜の癒着が起こることで皮膚の動きが悪くなり可動域に制限
が出やすくなります。
浅筋膜についてはこちらの記事をどうぞ
②膝関節周囲の筋肉の硬さが原因で膝関節の動きが阻害されるため
前十字靭帯を損傷し手術した後、リハビリで膝関節周囲の筋力強化をして膝関節の動きを安定させることが多いと思います。
そのため前十字靭帯損傷をしていなかった時よりも膝関節周囲の筋肉への負担が増えます。
その結果、疲労が溜まり筋肉が上手く働かなくなったり、硬くなった筋肉が大腿骨と脛骨を引っ張り関節が捻じれ、上手くかみ合っていない状態になります。
この大腿骨と脛骨の捻じれによって膝関節が伸びづらくなります。
筋力トレーニングを行っても膝が伸びづらい方は関節自体が上手く動ける状態ではない可能性があるため要注意です。
膝を曲げると痛みが出る方はこちらの記事をどうぞ
膝の内側に痛みのある方はこちらの記事をどうぞ
③もも前の内側の筋肉が上手く使えていないため
太ももの前の筋肉は大腿四頭筋と呼ばれる4つの筋肉があります。
その中の「内側広筋」という内側にある筋肉が膝を伸ばしきる時に最も重要で内側広筋が上手く使えない方は膝を伸ばしきることが難しくなります。
まとめると膝を伸ばすためには
「浅筋膜の癒着をなくす」
「硬くなった筋肉をほぐし膝関節が動きやすい状態を作る」
「太もも前の内側の筋肉を上手く使えるようにする」
必要があります。
リリース、トレーニングメニュー
最初に今どれだけ膝が伸びるかチェックしてみましょう。
HHDテストという簡単なテストをします。
ベッドの上でうつ伏せになり、膝蓋骨(膝のお皿)をベッドに乗せてかかとの高さを見ます。
この時膝が伸びづらい側のかかとの位置は膝が伸びる側に比べて高くなります。
例:右膝の前十字靭帯損傷の場合右のかかとの位置が左のかかとの位置よりも高くなる
膝が完全に伸びない気がするけどこのテストでかかとの高さが変わらないという方は左右の骨盤の回旋差や、足関節のアライメント不良など他の要因でかかとの位置がそこまで変化していないだけかもしれませんので注意してください。
次に皮膚と筋膜の癒着が起こりやすい箇所のリリースを行います。
・膝蓋骨の下のリリース
膝を軽く曲げた状態で図のように円を描くように動かします。
手術で傷跡になっている箇所の皮膚の動きをよくするために行うので力は弱めでさするくらいの強さで行ってください。
・膝の内側のリリース
膝を軽く曲げた状態で図の部分に指をあてて円を描くように動かします。
ここも皮膚の動きをよくするために行うのでさするくらいの力で行ってください。
筋肉のリリース
・太ももの内側、外側のリリース
太ももにボールをあてて矢印の方向に動かします。
硬くなった膝関節周りの筋肉をほぐすために行います。
・すね前のリリース
すねの前にボールをあてて前後に動かします。
脛骨の捻じれに対するリリースです。
・太ももの内側の筋力トレーニング
太ももの内側広筋を鍛えるトレーニングです。
仰向けに寝て足裏を壁につけてタオルを膝の下に入れます。
太ももの内側の筋肉に力を入れ、タオルを潰すように膝裏で床を3秒ほど押します。
このトレーニングはリハビリでやったことのある方もいらっしゃると思いますが、内側広筋をしっかり使えていない事があるためももの内側にしっかり力が入るか意識して行ってください。
これを行った後にもう一度最初に行ったHHDテストを行い膝の伸び具合を確認してみて下さい。
あまり変化のなかった方は先程お伝えした
骨盤や足関節などのアライメント不良や今回ほぐした部分ではないところが原因かもしれません。
手術後何年か経過している場合は皮膚癒着や周囲の筋肉も硬くなりやすいため変化が出るまで時間がかかります。
前十字靭帯を損傷した後好きだったスポーツをやめてしまった、以前のように動けなくなったなど悩みを抱えている方が多いように感じます。
私達は静岡県、愛知県、沖縄県に治療院があるため膝が思うように伸びず痛みが解消されない方やその他の身体の痛みでお困りの方是非一度ご相談ください。
杉浦 優