アーチコラム 【偏平足と室内履き】スリッパとオリジナルルームシューズの差を比較検証
アーチのオリジナルルームシューズであるRS-1(アールエスワン)。
前回開発に至る経緯を話させていただきました。
リンクはこちら↓
『外反母趾や足の裏の痛みに対し、オリジナルルームシューズを作りました』
https://www.arch-treat.com/news/detail/100
そして、その効果が本物かどうかをスリッパ・裸足・RS-1で比較検証してみました。
■検証背景
・足の問題を抱えていて、自分に合った靴が選べないという方は多く存在する。特に、職場や家庭で使用する屋内用シューズ(以下、ルームシューズ)は、スリッパやサンダルなど簡易的で安価な物を使用する頻度が多い傾向にある。
・しかし、1日24時間の中で屋外に居ることよりも、職場やご家庭などの屋内で過ごしている時間の方が多い人達もいらっしゃる。特に、足に問題を抱えている人なら、屋内の生活でも痛みのない生活を暮らすことが人生の質(QOL)を向上させることにつながると考えた。
・そこで、我々は足の痛みを抱える方に向けて、ルームシューズRS-1を新しく開発した。そのコンセプトは、本来の歩く動きを阻害しないルームシューズ。本来の歩く動きを阻害しないとは、前方へのスムーズな重心移動を促すという意味であり、RS-1が歩行時の重心移動にどのような影響を与えているかを我々は本研究にて検証する必要がある。
簡単に言うと、
●足が痛い方は室内でスリッパや裸足で過ごす方が多い
●そして屋外にいるより、屋内で活動する方は意外と多い。そんな方が痛みのない生活が送ることができれば人生の質も向上するのではないか
●RS-1を開発し、本来のスムーズな動きを阻害せずにいかに前方に重心移動できるかを調べた
となります。
そして目的を2つに絞りました。
■目的
検証①:RS-1がスリッパと比較して歩きを阻害していないかを検証する
検証②:RS-1+インソールが、膝痛、外反母趾、踵の痛みに効果的かを検証する
では、検証開始です。
■方法・対象者の裸足歩行の特徴
そして、裸足で歩いてもらった際の症例Aの姿勢と、足圧中心の動揺軌跡を調べました。
「足圧中心の動揺軌跡」とは、上の右図にある足の裏を見ていただいて、
足の裏の形の左右の違いや、点と沢山とそれらを線で結んであるのですが、それが外により行っている足はどちらか?を見ています。
これにより、症例Aさんは右足がより外に体重がかかることが分かりました。
そして、姿勢を見た際に足の影響よりも、上半身の姿勢の崩れによる影響が歩きに出ていることもわかりました。
単純な分析だけだとここまではわからないのですが、体を常日頃から診ているプロが行うとどこの影響下までわかるのがまたすごいです。
次に、症例Bさんです。
症例Bさんですが、先ほどの足の裏の形が左右差が沢山あるのがわかりますか?
左の緑が多いのに対し、右がかなり赤い部分が多いです。
その結果から右の外側への荷重が大きいことが明らかになりました。
■裸足・スリッパ・RS-1で立っていてグラつくのはどれか?
次の検証では、単純に3つのパターンで立っていてグラつくかどうかを調べました。
症例Aさんは、実はスリッパ・RS-1のほうがぐらぐらしました。
実はこれ、最初にも話したように上半身の歪みの影響なんです。
スリッパよりもRS-1のほうが実はぐらつきが大きいことが図を見ればわかります。
なぜかというと、RS-1の靴の機能がしっかりしていて、足は固定力が増しました。
その分そこでグラグラできなくなり、ヤジロベーのように下は固定されて上が左右に動き出したという事です。
次に、症例Bさん。
症例Bさんは、当初の予測通り足の問題が大きかったので、RS-1を履くことで見事に動揺が少なくなりました。
そしてもう一つ注目すべきは、実は固定力の無いスリッパを履いた場合、裸足より余計に揺れるという事もわかりました。
これを履いて室内で生活する事が実は痛みを引き起こす場合もあることを知っていただければと思います。
■結果
『上半身重心の影響が強い症例(下行性運動連鎖)は、RS-1にて重心動揺を大きくする可能性がある。その為、RS-1単独だけでなく、上半身質量を変えるアプローチも合わせて行う必要がある。』
『足部の影響が強い症例(上行性運動連鎖)は、RS-1にて重心動揺を小さくする可能性がある。その為、RS-1単独でも痛みを減らしたり、予防する効果が期待できる。』
となり、RS-1が足部をしっかりと固定する効果があることが分かりました。
足部を固定したい人というと、土踏まずがない偏平足の方はそれに当てはまります。
そして、そんな方に結構 “外反母趾” “足の裏の痛み” “かかとの痛み” で悩んでいる方が多いんですよね。
■スリッパ VS RS-1 歩行の違い
さて、例えば家事やお仕事で長時間同じ場所で立っているときに近いのが先ほどの検証だったとしましょう。
次は、家や職場で歩くことももちろんあります。
そこで、スリッパとRS-1ではどのような違いが出るのかを調べました。
症例Aさんです。
RS-1をつくるにあたり、いかに左右にぶれずにつま先に体重を乗せることができるかを考えていました。
これは、ロングカウンターやシャンクと呼ばれる機能がそれを可能にし、
靴職人の知識と治療家の知識が絶妙な靴の踵とつま先の高さを作り出しました。
スリッパよりもRS-1のほうがよりつま先に体重が移動できることが分かりました。
これは、上半身の影響があるAさんでも、スムーズな体重移動ができることが分かりました。
次に症例Bさんです。
■結果
RS-1をつくるにあたり、いかに左右にぶれずにつま先に体重を乗せることができるかを考えていました。
これは、ロングカウンターやシャンクと呼ばれる機能がそれを可能にし、
靴職人の知識と治療家の知識が絶妙な靴の踵とつま先の高さを作り出しました。
スリッパよりもRS-1のほうがよりつま先に体重が移動できることが分かりました。
これは、上半身の影響があるAさんでも、スムーズな体重移動ができることが分かりました。
症例Bさんは、外側にかかっていた荷重は中心により、とくに腕と体の間の隙間に注目していただければわかりやすいと思います↓
手はバランスをとる機能があります。
左右に揺れて歩く場合、手を広げてバランスをとるという事です。
左右の揺れが減少し、前方に進むことができたことで、手を広げて歩くことが減りました。
これは同時にRS-1により左右に揺れることが減ったという事になります。
左右の揺れは無駄な筋力を使い、疲れやすくさせます。
RS-1を履くことでそれが解消できるという事です。
その証拠につま先の向きが変わりました↓
つま先が外を向く『外股(そとわ)歩行』と呼ばれる歩行が改善したという事になります。
■まとめ
・スリッパでは、裸足での歩行と同様に遊脚期での下腿外旋が認められた。スリッパは後足部を支える部分がなく、遊脚期において足関節の背屈を強めないと脱げてしまうことから、症例Bの背屈+外転の動きを強め、外股(つま先を外に向ける)歩行を助長している可能性が考えられた。
・スリッパでは、つま先を外に向けることで立脚期での足関節の背屈が減少し、足部内側へ荷重がのる代償動作が認められた。その為、右立脚期後半で足部内側で回転し、踵が内側に振られる動きがみられた。その結果、他の2条件と比較して右立脚期での歩行時間の短縮が起こったと推測された。
・RS-1では、ストラップと後足部を支える部位があるため、遊脚期での過度な足関節の背屈を要求せず、遊脚期での下腿外旋および外股歩行の軽減が認められた。結果として、その後の立脚期でのスムーズな前方への重心移動が促された。
簡単に言うと、
●スリッパはしっかりと足を止めるものがないので、脱げないように無駄な筋力が必要で、それが歩行を悪くする
●スリッパでは後ろに蹴る時間が短くなり、そのせいでしっかりとつま先まで体重が乗せられなかった
●RS-1はしっかりと体重をつま先まで運ぶことができ、正しい歩行につながった
今回、外でいくら正しい靴やインソールを使用していても、室内にいる時に、裸足やスリッパを使用する時間が上回り、痛みや歪みをだしていることがありのではないかと疑問をもち、RS-1というオリジナルルームシューズ開発をしました。
裸足よりもスリッパよりも立っていても、歩いても足にとっていいものとは?が今回の検証により証明されました。
今回の検証にあたり力を貸してくれたアーチの理学療法士 喜納先生に感謝します。
Athlete Village浜松
https://www.athlete-village.com/shop_hamamatsu/
理学療法士 喜納将克
株式会社アーチ
柔道整復師 髙木慎一