アーチコラム スポーツをしている10代、腰椎疲労骨折、腰椎分離症リハビリトレーニング(スポーツラボ鍼接骨院 沖縄)
10代の子供がスポーツをしていて、
「腰が痛い。」と言い出した。
少し様子をみていたが、何日たっても痛みが引く気配がない。
病院に行くと、レントゲンとMRIを撮って、
「腰椎疲労骨折」と診断された。
「腰椎分離症」と診断された。
スポーツを長期間のお休みはわかったが、その間出来ることは何かないの?
再発や痛みが残ってしまったりはしないかな。
リハビリトレーニングは、いつから?
お子さんの大きな怪我。
それも腰の骨折。
思い切りスポーツをさせてあげたい時期だけど、お休みするしかないのか。
分からない事が多く、悩んでしまう方も多いと思います。
今回は、そんな方のための記事、
「スポーツをしている10代、
腰椎疲労骨折、腰椎分離症リハビリトレーニング」
です。
自己紹介遅れました。
私、「柔道整復師」の石川瑞記と申します。
沖縄県浦添市出身で、
静岡県浜松市と袋井市の接骨院にて4年勤務したのち、
現在は沖縄県沖縄市にある「スポーツラボ鍼接骨院」で痛みのある小学生からご高齢の患者様の施術、リハビリトレーニング指導を行っております。
スポーツをしている学生から、プロのアスリート、高齢になっても元気にスポーツをして痛い方まで、様々な方をみさせていただいてきました。
ビーチサッカーの日本トップリーグに所属していたチームのトレーナー活動も行かせていただいておりました。
今まで、患者様をスポーツ復帰まで導くために勉強してきた知識と経験をもとに今回の記事を書かせていただきます。
目次
①「腰椎疲労骨折」と「腰椎分離症」とは
②「腰椎疲労骨折」(分離症)の原因
③運動制限のある時期に出来るリハビリ
④復帰までに行っておきたいトレーニング
①「腰椎疲労骨折」と「腰椎分離症」とは
「腰椎疲労骨折」
「腰椎疲労骨折」は、その名の通り腰椎(背骨の腰の骨)の疲労骨折(繰り返しストレスがかかる事によって起こる骨折)です。
特にスポーツを行っている10代に多い骨折です。
10代の子供は成長期で、骨も成長段階です。
未完成な骨な為、過度なストレスがかかり続ける事で骨折を起こしてしまいます。
腰椎
「椎弓」と呼ばれる部分が骨折することが多く、右と左のいずれか片方を骨折、両方を骨折する場合もあります。
椎弓
腰を捻る、反る動きを過度に行い、腰椎椎弓へストレスが蓄積すると発生します。
骨折の度合いにもよりますが、早期復帰には早期発見と患部の安静が必須となってきます。
腰椎疲労骨折、治癒期間表
|
骨癒合率 (骨がくっつく率) |
骨癒合期間 (治る期間) |
初期 |
90~95% |
2~3ヶ月 |
進行期 |
30~60% |
約6カ月 |
終末期 |
0% |
|
早期発見により、骨折があまり進んでいない状態で軽度の状態から固定や治療を開始することができます。
結果、早期復帰に繋がります。
痛みを我慢し続け痛みが上がり切った状態になると、骨折も進行していて、治癒までの期間が長くなります。
腰椎疲労骨折は、早期発見できることが重要になってきます。
「腰椎分離症」
「腰椎分離症」は「腰椎疲労骨折」で骨折した部分が離れてしまった状態の事です。
脚のしびれなどの神経症状を伴う事もあります。
分離した部分が神経を圧迫、新しくできてきた骨が神経を圧迫することによってしびれを引き起こしていると言われています。
さらに「腰椎分離すべり症」に進行してしまう場合もあります。
「腰椎分離症」も特にスポーツを行っている10代に多いです。
「腰椎疲労骨折」を起こし、骨折した部分が離れてしまっているものが「腰椎分離症」という事です。
②「腰椎疲労骨折」(分離症)の原因
成長期で骨が未完成な10代時期に、
飛び跳ねたり、走ったり、早足で歩いたり
するストレスのかかる運動強度の突然の増加により、
腰椎へ捻り、反りなどのストレスが繰り返しかかり、骨折に繋がることが多いです。
しかし、同じチームでほぼ同じメニューを行っていても、全員が「腰椎疲労骨折」を起こすわけではありませんよね。
個々の違いがあり、その違いが「腰椎疲労骨折」の原因に関与していて、
その原因を無くしておくことが骨折部へのストレスを緩和させ、
リハビリ、再発予防にも繋がっていきます。
1,股関節と胸郭(胸椎と肋骨)の固さ、姿勢の悪さ
身体は、走ったり、跳んだり、ボールを投げたり、蹴ったりという動きをする中で、
ほぼ全身の関節が連動して動いています。
その中で、「たくさん動いてほしい関節」と「安定させておきたい関節」があります。
ジョイント・バイ・ジョイント理論
(joint by joint theory)
各関節の役割というのは大きくわけて
モビリティ(mobility:動き)関節
と
スタビリティ(stability:固定)関節
に分けられ、モビリティとスタビリティは人間の関節に交互に存在する。
というものです。
足首や股関節はいろいろな方向へ動いて、可動域が広いです。この関節達はモビリティ関節。
手首や肩も関節モビリティ関節。
膝や肘はほぼ、曲げ伸ばしの一方向へしか動かない、なるべく負担をかけたくなく、安定させておきたい関節スタビリティです。
この様に、モビリティの関節とスタビリティの関節は交互に並んでいます。
そして、腰椎部分はスタビリティ関節です。
しかし、本来モビリティであるはずの関節が固くなってしまう人もいます。
例えば、股関節。
本来、これだけの可動域があるはずの関節ですが、
太ももやお尻、股関節付近の筋肉の硬さが強くなってしまう事で股関節の動きが制限されてしまいます。
走りやジャンプなどの動作は全身の関節の連動で行っているので、
股関節が動かない分は腰椎部分が頑張って動かないといけなくなってしまいます。
そうです、
「腰椎疲労骨折」に繋がるのです。
上では脚を上げる動きで股関節と腰椎部分の可動域を表していますが、
脚を後ろに引く、
外に広げる
といった動作の中でも起こる可能性があります。
そして、腰椎部分の上にあるモビリティ関節は、胸郭(胸椎と肋骨)です。
この部分も可動域が制限されると、腰椎部分へのストレスが増大していきます。
股関節と胸郭。
胸郭、腰部、股関節画像
この2か所が固い事は、「腰椎疲労骨折」の原因の一つとなっています。
この2か所が固くなってしまうのは、ストレッチ不足と姿勢の悪さが原因となっていることが多いです。
自分の意識で変えられる姿勢。
早く治す為、再発しないようにする為にも良い姿勢でいることを意識させることは重要です。
2,体幹の弱さ
先ほど、腰椎部分はスタビリティ(安定させたい関節)であるとお伝えしました。
しかし体幹部分(身体の腕、脚、頭を除いた部分)で、
胸郭は胸椎と肋骨、
骨盤は骨盤でしっかりとした骨である
のに対して、
腰椎部分は腰椎のみと、上下2か所と比べて骨での安定感は弱いです。
スタビリティなのに弱い、ではいけませんよね。
そこで、活躍するのが筋肉です。
腹筋から腰回りの筋肉が、腰椎部分の体幹を安定させてくれます。
この腹筋から腰回りの筋肉がしっかりと機能していない、体幹が弱いと腰椎への負担は相当大きくなってしまいます。
そうです。「腰椎疲労骨折」に繋がっていきます。
③運動制限のある時期に出来るリハビリ
初期に行うリハビリは、腰椎が動いてしまうストレスが無いよう気を付ける必要があります。
骨折部へストレスがかかると、治りが遅くなってしまいます。
なので、動きのあるリハビリを行っていく際は、MRIにて骨の癒合(治り)具合をしっかりと確認しながら行っていく事が必要です。
今回ご紹介するのは、関節の動きを制限している筋肉をほぐす、
動きの少ないリハビリですが、状態によってはこの動きでも腰に痛みが出る場合がありますので、その場合は無理に行わないでください。
1,胸郭(胸椎と肋骨)周りのリリース(ほぐし)
胸郭の動きを良くしておくために、胸郭周りの筋肉をほぐしていきます。
・脊柱多裂筋
・前鋸筋
腰を安定させておきたいので、コルセットをしながら行える場合は、コルセットをしながら行ってください。
2,股関節周りのリリース
股関節周りの筋肉をリリース(ほぐし)、柔軟性を上げていきます。
・ハムストリングス
・外旋筋群
・腸腰筋
初期の場合は、腰を反ったり、捻ったりという動作は極力避けた方が良いです。
しっかりと、リハビリの先生にも相談して行っていってください。
リリースの許可が出た場合は、時間が許す限りリリースしまくった方が良いです。
「腰椎疲労骨折」を起こす子のほとんどが、股関節と胸郭が固いです。
ここをしっかりと改善しておかないと、再発する可能性が高くなりますので、絶対に柔らかくしておいてください。
④復帰までに行っておきたいトレーニング
復帰までには、上でお伝えしたリリースからストレッチ、各部位エクササイズ、徐々にスポーツ動作に近づけたトレーニングメニューになっていくはずです。
その中でも、特に下記のトレーニングはしっかりとマスターしておきたいです。
1,ドローイング&ブレーシング
ドローイングとは、お腹をへこませた状態で主にインナーマッスルである腹横筋を働かせるトレーニングです。
腹横筋は上の画像の青くなっている部分の筋肉です。
体幹を安定させるのに、とても重要な筋肉です。
この腹横筋をしっかりと機能させることにより、
体幹を安定させ、腰椎にかかるストレスを軽減させてくれるだけでなく、
スポーツ時のパフォーマンスアップにも繋がります。
「腰椎疲労骨折」でスポーツを休んでいる期間で、パフォーマンスを上げるためのトレーニングが出来るのです。
ブレーシングとは、お腹全体に力を入れてお腹を膨らませ、腹腔内圧を高めた状態で腹筋周辺の筋肉を働かせるトレーニングです。
ブレーシングでは腹横筋の他に外腹斜筋・内腹斜筋・ 多裂筋・ 骨盤底筋群・横隔膜など腹部全体のインナーマッスルを働かせ、より体幹を安定させることができます。
ドローイングは、日常生活などの力んでいない瞬間に体幹を安定させるのに最適です。
対してブレーシングは、スプリント(全力疾走)やジャンプなどの力を入れる動きをする際に体幹を安定させる際に使われます。
リラックス状態の時はドローイング、
力む際はブレーシング
が体幹を安定させてくれるので、どちらもマスターしておくことは再発予防に重要になってきます。
2,スクワットトレーニング
「なーんだ、スクワットなら簡単じゃん。」
と思ったそこのあなた。
「正しいスクワット」できますか?
「正しいスクワット」と言われると、かなり難しいです。
フォームはもちろん、腰を落とす高さ、重心の位置など細かい事を言うときりがありません。
ここでスクワットの話をすべて書いてしまうと、この記事があと3倍くらいになるので、今回はポイントを2つだけお伝えします。
しかし、スクワットは本当に難しいので行う際は、専門の方の指導を受けることをおススメします。
ポイント①
最適なポジションで体幹を安定させる。
人の背骨は、首の方でやや反り、背中でやや丸まり、腰でやや反る形をしています。
このポジションを保ったまま、体幹を安定させてスクワットを行う事が本当に重要です。
体幹を安定させた状態で股関節と膝を曲げていく。
体幹を安定させたまま、股関節と膝を伸ばしていく。
この一連の動作を左右、別々に行って腕ふりを加えると走る動作になっていくのです。
スクワット時に体幹を安定させた状態で行えないという事は、
走るたびに腰を反る、
腰を丸める
といった動きを反復していることになり、腰椎へのストレスは大きなものとなっていきます。
スクワットに限ったことではないですが、トレーニングの際に体幹を安定させることは非常に重要となってきます。
ポイント②
股関節をしっかりと曲げ伸ばしする
スクワットは、股関節と膝を曲げ伸ばしするトレーニングです。
この時、股関節を上手く曲げ伸ばしすることを意識しないで行うと、
腰や膝への負担が大きくなってしまう場合があります。
しっかりと股関節を曲げ、膝を前へ出しすぎず、お尻の筋肉を使う感覚を意識しながら行う事が重要になってきます。
悪い例だと、腰が丸まってしまい負担がかかってきます。
膝が前に出すぎてしまっても、今度は膝を痛める可能性が上がります。
腰や膝に負担をかけすぎない、良いスクワットを行っていきましょう。
最後に
「腰椎疲労骨折」「腰椎分離症」について、色々と書かせていただきました。
長くなってしまいましたが、この怪我はこれだけが全てではありません。
人それぞれ、起こってしまった原因が違う事もありますし、姿勢やスポーツも違うと思います。
その原因を、しっかりと知り、復帰に向けて、怪我する前より強く、良い動き方をマスターしていく事が最重要です。
スポーツをお休みせざるを得ない今、未来に向けて身体をつくるチャンスです。
「今やれることをしっかりとやっておきたい!」
「もっと、やれることはないのか!」
と先をみている選手、親御さん、相談できる場所が無い時はいつでもご連絡ください。
LINEでのご相談も可能ですので、いつでもお待ちしております。
スポーツラボ鍼接骨院 沖縄
住所:沖縄県沖縄市安慶田1-1-4
TEL:098989-7370
柔道整復師 石川瑞記
腰椎分離症でお悩みの方
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