アーチコラム 足がよく攣って困っている方へ
こんにちは。
名古屋市緑区にあるスポーツラボ鍼整骨院に勤務している西島です。
私は鍼灸師とアスレティックトレーナーの資格を持ち、日々、学生アスリートや一般の方たちに治療、リハビリ、トレーニング指導を行っています。
今回は足をよく攣ってしまうという方に向けてコラムを書かせていただきます。
・マラソンシーズンになり、練習中や本番で足が攣りたくない人
・夜寝ている時、朝起きた時に足が攣ってしまう人
などなどスポーツをやっている人以外にも起こりうる足を攣ることについてお話ししていきますので最後まで読んでいただければと思います。
目次
①攣るとは?
よく聞くのは足が攣る、こむら返りですがいわゆる筋肉のけいれんです。
難しい言葉で「有痛性筋攣縮」といいます。
こむら返りのこむらはふくらはぎという意味があるように頻度が高いのは下腿部(ふくらはぎなど)です。
その他の部位では太ももや腕に好発します。
しかし、下腿部の頻度が圧倒的に高いのでここからはこむら返りとまとめて話していきます。
症状としては自分の意思とは関係なく、突然筋肉がけいれんし、強い痛みが出て動けなくなります。
②攣ることの原因
こむら返りの原因は、はっきりとは解明されていません。
しかし、今回は
・運動中、運動後にこむら返りが起きる原因で考えられるもの
・睡眠中、中年になるとこむら返りが起きる原因で考えられるもの
の2つに分けて考えていきます。
まず、運動中、運動後にこむら返りが起きる原因で考えられるのがこの二つです。
1.運動神経系の異常
2.脱水による水分、塩分の不足
1. 運動神経系の異常
近年の研究の中で、こむら返りは筋肉の問題ではなく、運動神経系の器官が原因で起こると言われています。
まず、人の体は脳からの指令のみで動いているわけではなく、様々な反射によって筋肉を緊張、弛緩させることで円滑に運動しています。
この反射には筋紡錘とゴルジ腱器官という体の中のセンサーが深く関わっています。
筋肉にある筋紡錘は筋肉が引き伸ばされた時に感知し、筋肉を縮ませます。
筋肉から腱に移行する部分にあるゴルジ腱器官は筋肉の緊張、引っ張られている力を感知し、動かそうとしている筋肉を弛緩させます。
これにより、筋肉が伸びすぎて損傷することを防いでいます。
これが激しい運動をした場合、
筋紡錘の活動が増えて、動かす筋肉はより強く縮み、緊張します。
この時に、ゴルジ腱器官が正常に働けば過緊張した筋肉が弛緩してくれます。
しかし、疲労などによりゴルジ腱器官の働きが弱くなってしまい、弛緩せず、過緊張の状態が続き、こむら返りが起こってしまうのです。
このように2つのセンサーが激しい運動により、トラブルを起こすことがこむら返りの原因と言われています。
2.脱水による水分、ミネラルの不足
運動をしていると一番聞くことが多い原因だと思います。
脱水やミネラルが不足すると筋肉を伸縮させる働きが低下し、筋肉が縮んだ状態から戻れなくなり、こむら返りが起きます。
特にミネラル(カルシウム、カリウム、マグネシウム)は筋肉の収縮や神経の伝達をスムーズにする働きがあり、マグネシウムの不足はゴルジ腱器官の機能低下に大きな影響を与えます。
そもそも筋肉を構成する7割以上が水分なので水分が不足してしまうと筋肉が動きづらくなってしまうのは当たり前ですよね。
次に睡眠中、中年になるとこむら返りが起きる原因です。
まず、睡眠中に起きる原因として1日の筋肉疲労の蓄積、足の冷えによる血行の低下、就寝時に頭と足の高さがほぼ同じになることで下肢にたまっていた水分が上半身に流れたことによる脱水が考えられます。
このように身体のバランスが崩れている時にたまたま寝返りをうって筋肉に刺激が加わり、過剰に収縮することでこむら返りが発生してしまうのです。
中年になるとこむら返りが多くなる原因としては加齢による筋肉量の減少が大きな要因です。
特に、ふくらはぎは第二の心臓と呼ばれるように血液を心臓に送り返して循環させる働きがありますがその筋肉量が減ってしまうと血流が悪化し、代謝も悪くなってしまいます。
代謝が悪くなることで乳酸などの疲労物質の排出もしづらくなり、筋肉疲労が蓄積、疲労回復が遅れ、こむら返りへとつながってしまうのです。
③攣らないようにする対策
まずは、水分補給と食事でのミネラルを摂ることです。
水分補給は1日2リットルを目標にとることをおすすめします。
2リットルと聞くと多く感じると思うのでこまめに水分補給しましょう。
また、水だけですと塩分やミネラルが足りないのでポカリスエットなどのスポーツドリンクでナトリウム、ミネラル、そして筋肉のエネルギー源となる糖分を摂取してこむら返りの予防をしましょう。
次に、食事です。
毎日バランスよくミネラルを摂ることが大事です。
その中でもマグネシウムは特に不足しがちな栄養素でマグネシウムとカルシウムのバランスが1:2〜3の割合で摂取するといいと言われています。
・マグネシウムを多く含む食品
ほうれん草、ブロッコリー、ナッツ、大豆製品
・カルシウムを多く含む食品
牛乳、乳製品、小魚、海藻
・カリウムを多く含む食品
ブロッコリー、ほうれん草、納豆、さつまいも、バナナ
食事の中で意識して摂るようにしましょう!
そして、もう一つ大事な対策が筋肉をほぐす、トレーニングすることです。
ここまでこむら返りについて色々お伝えしてきましたがもう一つこむら返りになりやすい人の特徴があります。
それは足首の固い人です。
では、みなさんその場でしゃがみこんでみてください。
スムーズにしゃがみこめましたか?
踵は浮いていないですか?
後ろに倒れたりしてないですか?
なぜ、足首が固いとこむら返りしやすいのか?
足首が固い、特にしゃがむような動きがしづらい人は普段から足首を上にあげづらくなっています。
つまり、立っている時や歩く時に足首が下にさがっている状態です。
これはヒールを履いている状態と同じです。
では、足首が下にさがっているとどこの筋肉を使っているか?
それがまさにふくらはぎの筋肉です。
足首の固い人は気づかぬうちにふくらはぎの筋肉を収縮させ、緊張させた状態で生活しているのです。それはこむら返りしやすいですよね。
そんな状態を続けないために筋肉をほぐす方法をお伝えしていきます。
ご自宅にテニスボールや野球ボール、ローラーなどがありましたら下の写真のようにほぐしていきます。
道具がない方は自分の膝にふくらはぎを当ててほぐしていきましょう。
次にストレッチです。
お風呂上がりや寝る前に行ってみてください。
最後にトレーニングです。
上げるのは速く、ゆっくりおろすのを10回行います。
筋肉をほぐす→ストレッチ→トレーニングという順番で行うことが重要です!
④最後に
ここまで読んでいただき、足を攣る、こむら返りについて知っていただけたでしょうか?
今回紹介したようにこむら返りの原因は様々です。
こむら返りは一過性のものであれば不安になることはありませんが、「足が攣る」ことが糖尿病や腎不全など思いもよらない病気を知らせるシグナルとなることもあります。
今回ご紹介した対策をしてもこむら返りが週3日以上起きるという方は医療機関への受診もおすすめします。
これを読んでいただいた方が足を攣ることなく運動や日常生活ができるようになれれば幸いです。
ご精読ありがとうございました。
スポーツラボ鍼整骨院 滝ノ水
西島 勇気